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西部ガス情報システム株式会社会社情報インタビュアー
西部ガス情報システムインタビュー本文
森戸: 御社の社名の中に、親会社でもある「西部ガス」という社名が入っています。その親会社のブランドイメージによる営業のしやすさと、逆に親会社のシステム運用の専門会社というイメージから一般のお客さまに対するビジネス展開の難しさの両面があるように感じますが、実際のところお客さまの反応はいかがでしょうか?
安松: 西部ガスは現在、福岡・熊本・長崎の北部3県112万世帯のお客さまにガスを供給しています。そのお客さまの個人情報は私どもがお預かりして運用・保守・管理をしていますので、情報管理における高品質の保持には常に万全を期しております。ですから、機密情報などのセキュリティ管理の品質を求められるお客さまにとって、我が社が蓄積したノウハウは、営業的に見ても訴求力があると思っています。
森戸: 取引実績などを見ると、御社に対して自治体や企業からの仕事の依頼が多いのは、それらの点を評価されているのでしょうか?
安松: 自治体などの極めてセンシティブな情報などを扱われているシステム商談では確かに効力があると思います。地場企業の中でもある程度の規模の企業になると情報管理における信頼性をシステム導入の際には重視されると感じています。これらの商談の際に社名に知名度がある親会社の名前がついている営業的なメリットは感じます。

  その一方で上場企業では4月から施行されます日本版SOX法に基づいた内部統制、情報管理体制を整備しているので、取引先管理という視点で中小・中堅企業においても情報管理への姿勢が問われてきたようにも感じています。これまで「西部ガス」の冠には反応しなかった中小・中堅の企業さまの反応もよくなったような気がします。
森戸: そうでしょうね。いまほとんどの企業は、社外のお客さまや取引先に対して「自社のシステム運用管理の考え方と体制」について説明できなければなりませんので、システムの運用管理をアウトソーシングするなら誰もが知っている分かりやすい会社、信頼性の高い会社を選択したいという流れが出てきてもおかしくないですね。
  当社とお付き合いのある製造業大手の企業などでは、取引先の中小・中堅の会社における情報システムの運用管理は外部委託を前提として、現在、自前主義で情報システムの運用管理をしている取引先に対して運用管理体制の再考を求めています。
  その点、御社にシステムの運用管理を任せるということは、西部ガスの名前を背負っていらっしゃるというだけでも、そのブランドの力は大きいと感じます。
安松: それだけに、我々の仕事ぶりというのは、かなり緊張を強いられます。名前に恥じないような仕事をしなければと、社員にも常々伝えています。
森戸: 御社はISMS(ISOの27000シリーズ)の認証を取得されていますが、親会社のシステムの運用管理を行っているということと、何か関係があるのでしょうか、それとも御社独自の戦略からなのでしょうか?
安松: 私ども独自の判断で2005年にISMS認証を取得しました。今までの話にも関わってきますが、他社の情報システムの運用管理を行っている会社は信頼が第一と考えています。しかし、情報システムの運用管理の信頼性などは任せないとわからない部分もありますので、外部の認証取得などを積極的に活用してお客さまに私どもの会社に対する客観的なわかりやすさを求めています。
また、自社で万全の情報システムの運用管理体制を構築することができない中小・中堅企業から、情報システムの運用管理の外部委託先として選定していただくというのも考えています。
森戸: ISMS認証のための情報システム運用管理のためのプロセスなどは社員教育などでも活用されていますか?
安松: 情報システムを運用管理するのは当然、社員なので必要な外部教育は受講させていますし、社内でも情報管理プロセスに沿った形で指導しています。また、社員にはプロジェクトマネジメントなどの資格取得も推奨しています。
  ISMSなどの認証プロセスに関わらずマネジメントの基本はPDCA(Plan-Do-Check-Action)を丁寧に循環させることと考えていますので、プロジェクトマネジメント力の強化と技術力確保を同時並行的に進めています。何しろ、この業界は技術の進歩が早いので、全社をあげて、系統だてた教育体系の構築を検討しています。
森戸: 民需のお客さまはエネルギー関連のお客さまが多いと思いますが、それ以外のお客さまの業種や規模に特徴的なことはありますか?
安松: 営業的な部分では、お客さまの企業規模などは、あまり意識してはいませんが、やはり業種というとある程度は絞られるのではないかと思います。私はシステム開発は、お客さまの業務内容を熟知していることが大前提だと考えています。業務を改善するためのシステムなので、IT技術のほうばかりに目がいっていると、業務での運用がはじまってからお客さまの信頼を失うことになる可能性もあります。
森戸: その業務スキルということになるとエネルギー事業のシステムの開発と運用ノウハウを応用したものということになりますか?
安松: 原則的には、そうなると思います。やはり、今までの業務経験ということになると一番得意とするのは当然、ガス事業です。
  ただ、親会社の事業から発展したマッピング(ガス導管管理、ガス計量器管理や通報システムも含め)などについてもノウハウがありますので、これらから派生するシステム開発も得意としています。
これらのノウハウは、自治体、病院などのシステム開発でも生かされています。
森戸: 自社のノウハウを生かしてお客さまの業務を支援するという考え方を理想だけでなく、実践されていますね。相手の業務特性を熟知していれば、お客さまの業務改善についてきちんとディスカッションができるパートナーとして認知されますよね。
安松: おこがましいかもしれないんですけど、我々の価値は業務改善についての提案力があるかないかでしょうね。お客さまが何をお困りになっているかという問題を理解して、課題に置き換えて共有することからシステム開発提案を始めるようにしています。
森戸: 安松社長は、長年、西部ガスで勤務されていましたが、九州のIT業界をどのように見ていらっしゃいますか?
安松: 都市ガス業界というのは比較的成熟産業で、いろんなシステムがほぼ完備されていると言えます。その業界からIT業界に来たときは、「ビジネスはITなしでは語れない」と言われる時代にしては、業界内部の基盤整備が追いついていないというのが実感でした。また、大きな視点で見ると地域全体でのIT化推進という部分も政策的には見えづらいという部分もあると思います。
森戸: IT業界は新しい業界なので、業界としてのビジネス基盤整備などがまだまだの部分があると私も感じます。IT基盤がビジネスの世界でライフラインになっているので、業界全体が提供する製品やサービスの品質管理や運用管理などに責任を持つという意識が必要でしょうね。
安松: 製造物に不具合が出るのが前提というのは、ガス業界の感覚にはありません。IT業界では、ある程度のシステムのバグは避けられないとおっしゃることもありますが、私は、バグが無いシステム構築に向かって努力する姿勢は重要だと思っています。お客さまの業務を支援するシステムですから、それが欠陥製品では困ります。
  ただ、それに関連していうと、職場の環境整備の更なる充実が必要ではないかと考えています。システム開発の世界は人に依存していますので、ある意味、孤独な作業です。我々、社員を管理している立場の人間が、社員の体力面だけでなく精神的な部分まで気を配っておかないといけないと思っています。

  最近言われる「ワークライフバランス」ではありませんが、当社では、社員に対して、元気でハツラツとして「寝るときは寝る、遊ぶときは遊んだうえで一生懸命仕事してくれ」といっています。そうしないと知恵も出てこないでしょう?
森戸: IT業界以外の業種からこられて経営を担われている安松社長とのお話は非常に新鮮でした。御社のように、市場に対して啓蒙・啓発できる影響力のあるシステム会社に、地場の経済界含めて引っ張っていただくことを期待しています。
本日はありがとうございました。

森戸 裕一 (もりと・ゆういち)
ナレッジネットワーク株式会社 代表取締役
中小・中堅企業を対象にITを活用した経営手法、企業戦略などを提唱する、コンサルティング事業を展開。マイクロソフト社をはじめとするIT企業、自治体などが主催する中小・中堅企業向けIT化支援セミナーの講師も数多く担当し、“ITで元気になるヒント”の数々を提案し続けている。

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