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ふくおか元気企業;株式会社石村萬成堂
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ふくおか元気企業
株式会社石村萬盛堂
石:石村 株式会社石村萬盛堂代表取締役社長
学:学生インタビュアー Gakulog内定獲得プロジェクト参加者 山崎涼子+前田千絵
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学: 創業の経緯を教えてください
石: 創業者は祖父です。石村家は昔から宮寺大工といってお宮やお寺など神社仏閣を建てる大工でした。でも祖父は「大工は貧乏だし、自分には体力もない。大工になるよりもほかの仕事がしたい」と考えたときに何か神仏に関わるものを、ということで神仏にささげるお菓子を作る事になりました。祖父は対馬のお菓子屋で修行をし、戻ってきてさらに修行をして明治38年に創業しました。

学: 最初に作ったお菓子はどんなものだったのですか?
石: 鶏卵素麺は南蛮渡来であり古くからあったので、最初はもちろんそれを作りました。鶏卵素麺を作るときに卵白が余るのでこれを使おうという発想で「鶴乃子」が生まれました。最初は卵の殻に穴を丁寧に開けて、中身を吸い取って、できた生地を中につめてという手順で作っていました。今はゼラチンを主として使っていますが、当時は卵白とかんてんを合わせたものを使用していました。 株式会社石村萬盛堂鶴の子
  でもそれでは手間がかかる上に、日持ちも良くないという問題点がありました。 
ちょうど明治40年くらいに森永製菓がアメリカからマシュマロの技術を習得して、技術者が全国を回って製法を教えてくれたのです。創業者はその技術をすぐに「鶴乃子」に取り入れました。当時の「鶴乃子」にマシュマロの技術が応用できると気付いたのが創業者のすごいところだと思います。新しいことにすぐに取り組むのはうちの社風として根付いています。

学: 「競争はするな、勉強をせよ」という先代の教えにも通じるものがありますね
石: 「競争はするな、勉強をせよ」は別の言葉で言えば「花持ちし 人よりよくる 小路かな」です。商売人は普通は逆で、人を蹴落として、叩き落して伸びていく、という感じですが、先代は「自分が立派な花を持っているという自負心を持つために、花を持つ努力をすれば、人とすれ違うときにすっとよけられる余裕とか謙虚さが出てくる。だから他人を蹴落とすのではなく、あくまでも自分に厳しく、自分を磨きなさい」という意味で言ったのだと思います。ですから結果的に競争になることがあっても、うちは積極的に競争をしたり、他の店を排除したりということはしません。

学: 社長になって一番うれしかったこと、辛かったことは?
石: うれしいことはたくさんあるけれど、どちらかというと厳しいことの方が多いですね。昔、917事件と呼んでいますが、納品した次の日に商品にカビが生えていたことがありました。ちょうど秋の長雨のときで、たまたま商品に雨の水滴がついていたのです。そのまま納品してしまい、9月の蒸し暑さもあって納品先でカビが発生してしまいました。結局納品先17ヵ所から苦情が入り、1600名くらいのお客様にお詫びをして回りました。
最後にお詫びに行ったお取引先はブライダルでの納品先。お詫びに行った時に「お祝い事のお菓子なのに、大きな失敗をしてしまい、大変申し訳ありませんでした。今後一切ブライダルでのお取引を辞めさせていただきたい」と申し出たときに、「萬盛堂さんほどきちんと事後処理ができる会社はない。絶対に取引を辞めません」と言ってくださったのです。「そんな大きな事件を起しておいて、取引中止はあたりまえだ」と言われると思っていたので嬉しかったですね。でもそういう風に一番辛かったときに信頼をしていただいて、もう一度きちんとやり直そう、と思いました。

学: 商品開発の特徴と商品のこだわりは?
石: 今は安心安全、アンチエイジングということに主眼をおいています。2年前に行なわれた食の安心安全のセミナーで、他の参加者は添加物やトレーサビリティの話をしていましたが、僕は「お客様の健康を阻害しているのは添加物もさることながら、過食ではないか」と指摘しました。ですから今は全商品にカロリー表示をしています。 株式会社石村萬盛堂
  不思議なことに、同じお菓子でもスーパーなどへ流通するものはカロリーを表示しているのに、百貨店の食品売り場ではカロリー表示をしていません。お菓子のコンサルタントは「食べるときにカロリーが入っていると手に取りづらくなる」と言いますが、うちで買わなくても隣の店のお菓子を買って食べれば同じではないですか。だったらきちんと表示をしているうちのだったらカロリーが低いものにしよう、とか、小さいのにしよう、などいろいろ考えて食べられるのではないかと思います。
もうひとつのこだわりは産地表示です。「広川町のあまおう」とか「田主丸ワインゼリー」「知覧の紅サツマイモ」とか九州の産地へのこだわりがあります。「シャン・デ・レザン」もレーズンそのものはカリフォルニアでしか出来ないけれど、粉は朝倉のものを使っているんです。なかなか100%九州で、とは行かないけれど安心安全なお菓子作りに向かって少しずつ進んでいます。一方産地表示をするとなると、数が限定されるので、量を諦めなくてはならないという難しさもあります。「大山町の芽吹き蓬餅」などはそうですね。それを忠実に守って限定できるかどうか大切だと思っています。

学: 「ホワイトデー(マシュマロデー)」が始まったのは石村萬盛堂からだそうですね
石: きっかけは雑誌やラジオから聞こえてきた女の子たちの不満の声です。昭和53年に「(バレンタインデーの)おかえしの日があるといいね」というキャンペーンが始まって、ではマシュマロデーをやろうということになりました。日にちを決めたのは間違いなくうちです。女の子を集めて会議をしていたのですが、最初は2月14日のバレンタインデーを反対にして4月12日にする案が濃厚でした。でも2ヵ月後に返事というのも遅いという話になりまして。極端な話、1週間後2月21日という話もありまして。でも2週連続菓子屋が忙しいのはかなわない、などと話をして1ヶ月後の3月14日になりました。いまやこのホワイトデーは韓国や中国でも盛んなんですよ。

学: なぜ「マシュマロ」を選んだのですか?
石: それはもちろん我が社の本命商品「鶴乃子」の外皮がマシュマロだからですよ。中のあんをチョコレートに変えて代えて「君からもらったチョコレートを僕の心でやさしく包んでお返しするよ」って本命に渡すんです。いいでしょう?(笑)

学: お客様と接する時に大切にしていることは?
石: お菓子屋は昔、家業から企業化していこうとしていました。企業化は生産効率を上げて、売上げを上げる事。でもこの5年くらい企業から家業へ向かっています。一人ひとりのお客様に個別に対応していくと効率が落ちますがその分お客様への義を貫き通します。
サッカーボールのケーキもお客様の要望があり、最初は作るのに手間がかかりましたが、そこをがんばったら今では定番商品になりました。みんな「お客様の満足を大事に」というけど、まだまだ出来ているところは少ないと思います。
  まずは自分の都合にお客様を合わせるのではなく、お客様の要望に近づく努力をしていかなくてはなりません。オーナーシェフの感覚が大切です。小さな努力の積み重ねをやらなければ商売は続きません。気を抜いてしまったらいつどうなるかわからない。会社が長く続く事と、会社が大きくなることは案外相反するものなのかも知れません。 株式会社石村萬盛堂

学: 新卒採用をされていますが、どのような人材を求めていらっしゃいますか?
石: まずは会社説明会で私が企業経営の思いや、職業観を含めて話をしますが、この会社説明会が1次試験です。参加者には「合否は君たちの心の中で決めてください」といいます。この社長とならやっていけるな、と思ったら筆記と適正試験に出ておいで、と。この時点で90%は試験を受けてくれます。一番大切しているのは共感性です。人間としての響き。試験では説明会の感想を必ず書かせます。私の話に「理屈抜きに感動しました」という人は多いけれど、その奥を見るのは大変です。面接も80人くらいの学生さんに会います。

学: 「働く」ことについてどのように捉えていらっしゃいますか?
石: 若い人によく「レゾンデートル」という言葉を伝えます。フランス語で「存在意義」とか「存在の理由」と言う意味で、会社にも個人にも存在する意義があるんじゃないか、ということです。今の若い子は「自分探し」ということで、それを自分の中に答えを求めようとするけれど、自分のやりたいことと何かがふれあったらそれをやってみようよ、と言いたいのです。人間の存在意義、企業の存在意義は社会性つまり、誰かとの関係の中にしかないのです。私はこの会社がお客様にとって、社会にとって存在意義のあるものになりたいと思います。人にしても同じ。あなたにここにいてもらわなくちゃ困る、といわれるような人材になってほしいのです。自分の存在意義、自分が何になろうか、と考えるのもあるけれど、何のためにお役に立とうか、という目標の定め方もあると思います。

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≪インタビュー後記一言≫
地元の人に愛される商品を作り続け、社員の方達がその商品を心から大切にしている姿に魅了されました。私は会社は利益を追求することで継続するものだと思っていましたが、会社というものは社員だけでなく、周囲の人達の想いによって継続されることを知り、一人のお客様のために誠心誠意対応されている石村萬盛堂の心意気を感じました。
NPO法人九州学生ネットワークWAN 代表 指原沙織
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会社情報
株式会社 石村萬盛堂
http://www.ishimura.co.jp/
〒 812-0028 福岡市博多区須崎町2番1号
TEL:092-291-2225
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